垂乳根

 大家さんが八五郎に縁談をもってきた。若くて美人、支度も夏冬持ってくると言う。
 ただし、言葉が、ちと丁寧で、目に砂が入っても「ショウシャガンニュウス」、
 つまり『小砂眼入す』と言うほどだ。
 「そのぐらいなら」と、その日の内に祝言となった。大家さんが娘を連れてくる間、
 二人でご飯を食べたり、喧嘩をする稽古をしたり、ウキウキ気分の八五郎。
 いざ迎えた花嫁は、折り紙付きの丁寧言葉を連発する。頑張れ八っつぁん!


垂乳根